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2021 年度 実績報告書

血液肝臓間相互作用を加味したミトコンドリア毒性評価系の構築と肝障害機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J11187
研究機関千葉大学

研究代表者

池山 佑豪  千葉大学, 医学薬学府, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2023-03-31
キーワードミトコンドリア透過性遷移 / 血小板 / 薬物性肝障害 / 骨髄移植マウス
研究実績の概要

本研究では、ミトコンドリア透過性遷移(MPT)を介した肝障害発症に血小板で起こるMPTが起点となることを想定している。本年度は、骨髄移植を用いて骨髄細胞特異的にシクロフィリンD (MPT制御因子の1つ)欠損させたマウスを作製し、アセトアミノフェン投与による肝障害への影響を評価した。その結果、投与後6時間後に野生型マウスで肝障害が見られた、この肝障害は骨髄シクロフィリンD欠損マウスにおいて、有意に低下した。この結果からアセトアミノフェンによるMPTが血小板を含む骨髄由来細胞で誘導され、それが肝障害へとつながることが考えられる。
続いて肝障害における初期段階での影響を評価するため軽微な障害が認められる投与1または2時間後にてマウスの肝臓よりミトコンドリアを単離し、ミトコンドリアの機能を評価した。アセトアミノフェン投与によりミトコンドリア機能の指標となる膜電位および呼吸活性が投与後1時間後に単離したミトコンドリアよりすでに低下しており、この機能低下は骨髄由来細胞のシクロフィリンD欠損により抑制されていた。
また、それぞれの肝臓より肝切片を作製し、肝臓内への血小板の蓄積を蛍光免疫染色を用いて評価した結果、2時間後では血小板の蓄積が確認できた。この結果は、骨髄シクロフィリンD欠損マウスでは部分的に抑制されていた。
以上の結果より、骨髄由来細胞のMPTが肝細胞のミトコンドリア機能を低下させ、肝障害へと導く可能性が示された。これがMPTを引き起こす薬物の肝障害メカニズムとなることが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、骨髄移植マウスによって血小板やマクロファージなどの骨髄細胞においても、薬物によってミトコンドリア透過性遷移(MPT)が誘導され、肝障害へとつながる可能性を示すことができた。この結果は薬物性肝障害は肝実質細胞が薬物の曝露により細胞死が誘導されることだけではなく血中に存在する血小板・マクロファージなどの細胞も肝実質細胞と同様に薬物の影響を受け、それが肝障害へとつながるという重要な知見を得ることができた。このメカニズムに共通因子としてのMPTの関与が示せたことも研究の進展であると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、骨髄の中でもどのような細胞がこの肝障害において関わっているのかをin vivoならびにin vitroで示していく予定である。具体的には、in vivoでは薬物投与後に肝臓内の細胞プロファイルを分析していくとともに、RNAシーケンスを用いた関連遺伝子の同定を進めていく。in vitroでは、血小板と肝細胞を共培養し、細胞間接着・肝細胞死・RNA変動などを評価していく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ガラクトース培地と一過性低酸素を組み合わせによるミトコンドリア膜透過性遷移を加味した新規ミトコンドリア毒性評価系の構築2021

    • 著者名/発表者名
      池山 佑豪、佐藤 智之、関根 秀一、竹村 晃典、伊藤 晃成
    • 学会等名
      第28回 HAB研究機構学術年会
  • [学会発表] アセトアミノフェン肝障害発症における血小板でのミトコンドリア透過性遷移の関与の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      池山 佑豪、竹村 晃典、伊藤 晃成
    • 学会等名
      第48回 日本毒性学会学術年会
  • [学会発表] 薬物性肝障害での骨髄由来細胞におけるミトコンドリア透過性遷移の関与2021

    • 著者名/発表者名
      池山 佑豪、竹村 晃典、伊藤 晃成
    • 学会等名
      第65回 日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] Mitochondrial permeability transition of bone marrow derived cells was involved in acetaminophen-induced liver injury.2021

    • 著者名/発表者名
      池山 佑豪、竹村 晃典、伊藤 晃成
    • 学会等名
      日本薬物動態学会 第36回年会
  • [備考] 千葉大学薬学部・大学院薬学研究院 生物薬剤学研究室

    • URL

      https://www.p.chiba-u.jp/lab/yakuzai/index.html

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公開日: 2022-12-28  

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