研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続きビニルエーテル(VE)1分子とアルデヒド2分子からなる環状三量化反応を基盤とした、配列制御重合を検討した。具体的には、環状三量体をモノマーとして用いて、(1)VEとの交互カチオン共重合によるABCC型配列制御ポリマーの合成、および(2)ビニルモノマーの連続的な環状三量化反応による環状構造かつABAC型配列制御ポリ環状アセタールを合成した。 (1)モノマー初濃度などの条件を最適化することにより、種々のVE(モノマーA)と、2-ノネナール(モノマーC)とVE(モノマーB)を用いて形成した環状三量体から交互カチオン共重合が進行した。生成ポリマーの配列は、ABCC型あるいはACBC型の両方を含んでいることが明らかとなった。また、その生成割合は重合条件やモノマーとして用いた環状三量体の置換基によりある程度制御することが可能であることがわかった。特に最適条件下では、ABCC型に83%制御された配列を有するポリマーを合成することができた。(2)また、二官能性芳香族アルデヒド(モノマーA)と1,1-ジフェニルエチレン(DPE; モノマーB)から、アルデヒド部位を2つ有する環状三量体を高収率で合成した。DPEの立体障害により、連続的な環状三量化反応やDPEの単独重合が抑制されたためと考えられる。次に、この反応点を二つ有する環状三量体と種々のビニルモノマー(モノマーC)との連続的な環状三量化反応により、ABAC型配列制御ポリ環状アセタールが生成した。この生成ポリマーは、立体障害が大きく異なる構造が結合した環状アセタールが交互に配列しているため、酸性条件下で2段階の分解挙動を示した。具体的には、まず立体障害が小さいモノマーCが結合した環状アセタールが速やかに分解し、その後DPE由来の環状アセタールが緩やかにモノマー単位まで分解した。
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