本年度では、環状βアミノ酸を含むヘリカルペプチドを2つ繋いだhelix-loop-helix (HLH)ペプチドを薬剤スクリーニングに応用し、高い構造安定性および膜透過性を持つ薬剤候補を獲得することを目指した。昨年度では、HLHペプチドをmRNAディスプレイをベースとしたin vitroスクリーニングに応用すべく、HLHペプチドの設計およびリボソーム翻訳合成条件を検討した。その結果、全長のHLHペプチドの翻訳合成が実現した。本年度は、HLHペプチドのライブラリ化のため、ヘリックス同士を繋ぐリンカー長さを検討し、スクリーニングを行った。具体的には、以前の標的スクリーニングで得られたモノマーのヘリカルペプチドをモデルとした、数種類のリンカー長さを持つHLHペプチドを化学合成し、構造と活性の評価を行った。それぞれのモデルHLHペプチドに対して円偏光二色性測定を行った結果、リンカーの長さが6のモデルHLHペプチドが高いヘリックス性を示すことが明らかとなった。また、標的阻害活性をSPR法により評価した結果、モノマーのペプチドと比較してすべてのモデルHLHペプチドが高い活性を示すことが明らかとなった。その中でも、最も高いヘリックス性が確認されたリンカーの長さ6のモデルHLHペプチドが最も高い活性を示した。そこで、in vitroスクリーニングに応用するHLHライブラリとして、リンカーの長さが6である①完全にランダム、②フレキシブルなGSリンカー、③ターン構造を誘起するリンカーの3種類を設計した。標的タンパク質として、ヘリカルバインダーを有することで知られているタンパク質を選択し、それぞれのライブラリのスクリーニングを行った。
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