研究課題
環状型熱核融合発電炉のダイバータ板には、工学的許容熱負荷(10 MW/m2)を大きく上回る熱負荷(数百MW/m2)が加わると見積もられる。ダイバータ板への熱負荷を低減するために、プラズマと中性ガスの相互作用を利用して、ダイバータ板前面で熱流束を低減させる「非接触プラズマ」が期待されており、その物性を理解と制御が喫緊の課題である。非接触プラズマ中では、磁場を横切る間欠的な非拡散的プラズマ輸送の増大が種々の磁場閉じ込め装置で観測されている。そこで本研究では、対流的プラズマ輸送の発生機構と中性粒子との関連性について理解するために、条件付き平均法を分光計測に組み合わせることで波長分解能を持った高時間分解能計測系を開発した。本光学系を直線型ダイバータ模擬装置で生成した非接触プラズマに適用し、対流的プラズマ輸送現象の発生時刻前後に渡る発光スペクトルの挙動を観測した。高励起準位からの自然放出光の強度は、発生時刻前では大きく、放出後では小さくなることが観測できたが、その変化率は数パーセント程度であった。線強度比法によって求めた電子温度と電子密度の揺動は静電プローブの結果と一致することから、高時間分解能発光計測によって非接触プラズマ中におけるプラズマパラメータの揺動を取得できることが分かった。また、実際の核融合炉におけるプラズマ発光計測では、壁での反射光が問題となることから、装置材料の光学反射分布特性について調査した。本研究ではさらに、非接触プラズマ中における中性粒子の輸送を理解するために、流体コードと中性粒子輸送コード、衝突輻射コードを統合したシミュレーションコードを開発した。統合コードを用いて非接触プラズマを解析することで、再結合過程によって生成された準安定原子が上流へ輸送され、非接触プラズマの形成を促進する影響をもつことが分かった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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