2021年度の研究成果は、大きく分けて、(1) 提案アーキテクチャ評価環境の整備、(2) 提案アーキテクチャのプロトタイプ評価 の2点である。 (1) 提案アーキテクチャで用いる拡張命令の ISA およびにマイクロアーキテクチャ仕様を策定し、プロセッサシミュレータ上に実装した。加えて、上記 ISA に対応したコンパイラを構築し、ベンチマークスートである Axbench、Phoenix のプログラムをいくつか動作させた。さらに、提案アーキテクチャの一部を HDL 実装し、FPGA 上で論理合成した。 (2) 上述したプロセッサシミュレータ上で、作成したバイナリを動作させた。この評価を通じて、提案アーキテクチャによって、単一のバイナリを、動的に計算精度を変更しながら実行可能であることを示した。加えて、計算精度の変化に応じて、性能指標と計算誤差を単調に変化することを示した。また、提案アーキテクチャの HDL 実装を論理合成することで、追加したマイクロアーキテクチャモジュールによる回路増大オーバヘッドは数%程度であり、新たなクリティカルパスとならないことを示した。
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