研究課題
本研究の目的は、レーザーアブレーションによるアルミナ還元手法確立である。それに向け、Al-O系気体であるアブレーションプルームからのアルミニウム回収条件の解明を行った。壁面上での気体凝縮に適用される不均一核生成理論から考えると、アルミニウム回収においてはアルミニウム分圧および回収系表面温度が重要である。アルミニウム分圧については数値計算の結果より、レーザー照射条件に大きく依存しないことが分かっており、本研究では表面温度条件に注目した。同様に不均一核生成理論が適用可能な、レーザー照射後のアルミナ表面でのアルミニウム粒析出の温度条件がアルミニウム回収へ適用可能であると考え、アルミナ表面温度の時間変化を可視二色法により測定した。結果、アルミニウム回収において、表面温度933-2300 Kおよび冷却速度600-800 K/s以上が必要条件であると得られた。そこで得られた温度条件を回収系にフィードバックし、半導体レーザーによる温度制御回収板系を構築、タンタル、タングステン、アルミナ板それぞれについて表面温度1000-2000 Kの条件で、レーザーアブレーション法におけるアルミニウム回収実験を行った。結果、タンタル板、1500 Kの条件においてアルミニウム回収に成功し、アブレーションプルームからのアルミニウム回収率は2.0%と測定された。これは先行研究の70倍に及ぶ高効率であり、レーザーアブレーションによるアルミナ還元手法の確立に向けて大きな前進を果たした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Materials Chemistry and Physics
巻: 278 ページ: 125557~125557
10.1016/j.matchemphys.2021.125557