研究実績の概要 |
本研究では,脱ユビキチン化酵素UBP13によるBRI1のエンドサイトーシス制御に着目し,栄養条件に応答した植物の成長制御機構の解明を目指している。これまでの研究から,ユビキチンシグナルによる植物栄養応答制御の重要性,特に脱ユビキチン化酵素UBP13が膜局在タンパク質の機能制御に重要な役割を果たす可能性を見出した。特に,UBP13は植物ホルモンブラシノステロイドの受容体であるBRI1のユビキチン化制御に関与する可能性が示唆された。 本研究では,UBP13とBRI1の関係性に着目し,下記2研究課題に関する詳細な解析を効率的に実施する。 1.UBP13によるBRI1のエンドサイトーシス制御機構の解明 2. UBP13を介した植物バイオマス制御の生理学的解析 当該年度は,UBP13とBRI1の生化学的な解析から,これらタンパク質同士が相互作用すること,そして,UBP13がBRI1のK63型ユビキチン鎖を除去する脱ユビキチン化活性を有することを突き止めた。実際に,UBP13とホモログUBP12の二重変異株では,BRI1のユビキチン化量が増加していた。そして,この二重変異株ではBRI1タンパク質量が顕著に減少しており,植物の成長も阻害されることを見出した。また,細胞内局在性のイメージング解析も行い,UBP13がBRI1の液胞分解を制御する因子であることを明らかにした。これらの知見をまとめ,論文発表した(Luo et al., 2022, EMBO reports)。
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