本研究では、結晶性シリコン性太陽電池の変換効率を向上可能なEu2+またはCe3+賦活新規無機蛍光体材料の開発を目的として研究を進めている。当該年度では、Eu2+賦活量により黄緑色から橙色へと発光色が変化するCa6BaP4O17:Eu2+の合成に初めて成功し、その詳細な発光メカニズムについて調査を進めた。Rietveld解析の結果から、目的物であるCa6BaP4O17:Eu2+の主相合成およびEu2+量に伴う格子体積の単調増加が観測された。蛍光励起スペクトル測定を行ったところ、Eu2+賦活量が1 mol%のときの発光色は黄緑色である一方で、賦活量が増えていくと蛍光波長がレッドシフトし、20 mol%のときに発光色は橙色を示した。また、ガウスフィッティングによる発光エネルギーのデコンボリューションから、二成分への分離に成功し、Rietveld解析の結果も考慮すると、賦活剤であるEu2+はCa6BaP4O17結晶中の異なる配位環境がそれぞれ異なる二つのCaサイトに優先的に固溶していることが明らかになった。今回得られた成果はJournal of Luminescenceに論文受理された。
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