研究課題/領域番号 |
21J12278
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
大屋 里佳 東京女子大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 触覚 / 感情 / 表出 / 知覚 / 典型動作 |
研究実績の概要 |
当該年度は,触覚感情表出および知覚の文化普遍性について検討するために,これまでに日本で実施してきた一連の触覚感情知覚実験をオランダにおいて実施する予定であった(計画3)。しかしながら,不安定な社会情勢に鑑みて,当初予定していた文化間比較ではなく,コミュニケーションチャンネル間での比較をおこなう計画に変更した。 具体的には,触覚のみならず,コミュニケーションにおける主要な非言語チャンネルである音声や表情に着目して,多様なポジティブ感情の伝達における得意不得意をチャンネル間で比較した。そして,これまでに本課題を遂行するうえで蓄積したノウハウを活用し,それぞれのチャンネルによる感情表出データを解析した。解析結果から,計画1と同様の手法で各チャンネルの典型表出(解読者が特定の感情が知覚した際に頻繁に使用された表出方法)を見出し,計画2と同様の手法でその効果を検証した。 実験の結果,これまでに触覚研究で検討されてきた感情群のみならず,多様なポジティブ感情も,本研究が発見した典型動作を使用することで伝わりやすくなることを明らかにした。さらに,音声および表情についても,典型表出を用いることで意図感情が伝わりやすいことが示された。 本研究の知見は,従来研究がなされてきた表情のみならず,触覚や音声にも典型的な表出パターンが存在すること,および従来検討対象とされてきた感情群のみならず,多様なポジティブ感情にも表出の典型が存在することを示唆するものである。 以上の研究と並行して,関連する成果のとりまとめに注力した。感情知覚における触覚と聴覚(音声)の差異について検討した論文が、国際学術雑誌i-Perceptionに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のようにオランダでの実験実施および文化間比較については実現できなかったものの、実現可能な研究計画にすべく軌道修正をおこない、計画に沿って着実に研究を遂行することができた。変更後の研究によって生み出した成果は、当初の計画によって生まれたであろう成果と遜色のないインパクトがあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画変更後の研究をさらに深めるべく、計画変更後に実施した研究成果について国内および国際会議にて精力的に発表をおこない、関連するテーマの研究者との議論によってその方向性を決定する予定である。また、原著論文執筆等の成果とりまとめをおこなう。
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