2021年度は、以下の3点について研究を行った。 (1) 集束超音波を用いた圧覚提示法の確立: 被験者実験を通じて、超音波による圧覚提示法を確立した。実験では、超音波焦点を5 Hzで左右に3 mmずつ手のひら上で周期移動させた。この焦点移動の空間刻み幅を0.2 mmと細かくとることで、(若干の振動感は残るものの)静的な圧覚を生起できた。また、最も振動感が抑制された条件で知覚された力の強さは(平均的には)0.21 N相当であった。 (2) 指先への面状圧覚刺激: (1)の方法は手のひら状の一点に圧覚を提示するものである。それに加え、焦点軌道を工夫することで、指先に対して広がりのある「面状の圧覚刺激」が提示できることも発見した。今後はこの触感を定量評価し、面状圧覚刺激の提示方法を確立する。 (3) 複数触感を備えた空中視触覚ディスプレイの開発 (1)と(2)の成果の応用として、立体像に触感を付与する空中視触覚ディスプレイを開発し、国際会議SIGGRAPH ASIA 2021でデモを行った。ユーザはこのシステムにおいて立体映像に素手で触れることができ、その際3種類の基本的な触感を感じることができる。
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