研究課題
前年度に多孔質シリカガラス基板における非多孔質ガラス領域の形成が達成されたことを受け、このような加工がガラスへのCWレーザー照射により実現されるメカニズムを①ガラスの分相により形成されるナノ組織の非等温過程における動的な変化挙動、及び②ガラス基板へのレーザー照射過程で生じる温度場の経時変化の2点を通して明らかにした。過冷却,準安定状態にホウケイ酸塩(Na2O-B2O3-SiO2)ガラス中の加熱および冷却過程での分相組織の生成・変化・消失(均質化)挙動を、高温in-situ X線小角散乱測定(SAXS)装置を開発し時分割測定を行い明らかにした。加熱過程ではガラスの温度履歴により、混和(分相消失・均質化)温度(1000°C以上)が異なり、分相の均質化は準安定相(バイノーダル)の成長と物質の熱拡散のバランスにより定まることを明らかにした。一方、冷却過程での分相の生成・成長は従来であれば急冷試料で分析するのが一般的であったが、本研究では初めてガラスの冷却過程の構造変化を時分割で詳細に観測できることを示し、均質な高温融液を異なる速度で室温に冷却する際、分相組織生成温度は一般的に用いられる冷却速度には依存せずに定まること、冷却速度を大きくすると高温域での核成長機構による液滴状分相の形成がスキップされることを明らかにした。レーザー照射による加熱は極めて短時間で完結するため、加熱過程や均質化した後に冷却過程での分相組織のさらなる成長が生じず、目標としていた分相組織の局所的な均質化が達成されたと考えられる。また、有限要素法を用いた計算により、レーザーによりガラス中に与えられる熱履歴は、出力に加えてその走査速度が非常に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Non-Crystalline Solids
巻: 597 ページ: 121891~121891
10.1016/j.jnoncrysol.2022.121891