パワーモジュールに使用されるゲルや固体絶縁材料中の劣化現象の解明を目的として,放電中の電界を測定するため,昨年度,E-FISHG法により電界を非接触かつ非侵襲的に測定するシステムの開発を行った。レーザ光路に沿ってSHGを分布で取得し,逆計算することで電界を復元する手法を提案し,気体中の放電しないような場において,電界一次元分布測定が可能であることを示した。本年度は,提案した手法が放電プラズマ中でも測定可能であることを示すため,大気圧空気下直流コロナ放電下で空間電荷電界測定を行った。印加電圧極性が正極性のとき,焦点におけるレーザ強度が高いときに,レーザ誘導ストリーマが観測された。一方,負極性では,レーザ誘導ストリーマは観測されなかった。レーザ誘導ストリーマが観測される条件で取得したSHG信号分布から,コロナ放電による空間電荷電界を取得したところ,得られた電界強度はレーザトリガ法により測定した電界強度に近い値であり,E-FISHG 法により精度良く電界が測定できた。したがって,提案した電界復元手法は放電プラズマ中でも適用可能である。 また,電界を遠隔で測定できれば,パワーモジュールにとどまらず電力機器の長寿命化につながる。そこで,電力機器の電界遠隔測定に向けて,手元で測定を行うため,従来の光学系とは異なり,受光系を手前にした光学系を提案した。測定対象から1m離れて0.5kV/mmの電界を測定可能であった。
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