研究課題/領域番号 |
21J12556
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中山 海衣 東京農工大学, 大学院生物システム応用科学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 有機電解反応 / 光触媒反応 / 有機電子移動反応 / DDQ光触媒 / 酸化チタン光触媒 / カーボンフェルト電極電解 / アレーンC-Hアミノ化 / スピロ環合成 |
研究実績の概要 |
植物の光合成では、太陽光をエネルギー源として水や二酸化炭素といった単純化合物から、糖といった複雑骨格を持つ化合物が合成されている。光合成の機構は、植物の体内で行われる電子移動が重要なキーとなっており、有機化合物を理想的な条件で合成可能な光合成を模倣するには、電子移動の自在な制御が必要となる。当該年度では、光合成模倣に繋がる研究として、様々な光触媒や電解を用いた反応開発を行った。 DDQは、一般的に有機酸化剤として用いられる化合物であるが、青色光を照射することにより、さらに高い酸化力を有することが分かっている。その酸化能は、ベンゼンなどの低活性物質を酸化可能な電位であるが、DDQを触媒量でサイクルさせるためには、犠牲剤が必須であった。今回、光源や溶媒種を工夫することにより、犠牲剤フリーでDDQを触媒サイクルさせることに成功した。本成果で対象とした、アレーンC-H結合アミノ化反応は、低活性アレーン基質の活性化において有用であったため、国内学会にて発表を行った。 酸化チタン光触媒やカーボンフェルト電極電解によるDiels-Alder反応は、加熱条件や貴金属光触媒では合成不可能な六員環化合物の生成が期待できるとして、注目されている。本研究では、これまでの知見を活かし、酸化チタン光触媒やカーボンフェルト電極電解を用いたスピロ環を含む新たな六員環化合物の合成に着手した。両電子移動反応において、高い収率でスピロ環生成物を与え、複雑骨格を有する六員環化合物の合成に成功したため、国内及び国際学会にて発表を行った。 以上の成果は、様々な低活性点や環を有するステロイド骨格の合成において有用な知見となり、本研究の目的である「光合成模倣によるステロイド骨格の有機電子移動合成」の達成へ繋がると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度の研究計画では、光触媒を用いたステロイド骨格の合成に繋がる有機電子移動反応の開発を目的としていた。実際の成果では、DDQ光触媒によるC-N結合形成反応、酸化チタン光触媒によるスピロ環形成反応の開発に加え、カーボンフェルト電極電解によるスピロ環形成反応の開発に成功したため、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回、DDQ光触媒や酸化チタン光触媒、カーボンフェルト電極電解を用いて様々な反応開発を行った。これらの光合成模倣による有機電子移動反応手法を用い、実際にステロイド骨格を有する化合物の合成に着手する。上記電子移動媒体による、持続可能なステロイド骨格合成手法の構築、または新規のステロイド骨格合成を試行する。
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