本研究においては固体高分子形燃料電池において、パターン電極に関する物理現象解明と、それに基づく形状の最適化に取り組んだ。前者ではインピーダンス解析と反応輸送シミュレーションを用いて、プロトンの伝導性が改善されることによって全体の性能が向上することが示された。また同時に酸素拡散性とのトレードオフが重要であることも分かった。後者においては、これらのトレードオフに基づき、パターン電極の形状や触媒層の組成をどうすればよいかという検討を行った。以下に本年度における具体的な研究実績を述べる 本年度は研究最終年度ということもあり,これまでの知見に基づいて反応輸送シミュレーションに集中的に取り組んだ.形状や組成などをそれぞれ独立にパラメータとして設定した検討は前年度までにも行っていたが,本年度は特に形状と組成を同時にパラメータに設定する計算に注力した.前年度にパターン電極はアイオノマー伝導性に寄与することがわかっていたが,ここから推測された通り,アイオノマー量の設定との適切なバランスが存在することが示された.結論としてパターン電極形状は高アスペクト比にし、触媒層のアイオノマー量を減らしていくことがよいことが分かった。また9月に学位を取得した後には、特別研究員PDとしてそれまでの研究の延長に従事した。その中では、ベイズ最適化を用いたパターン電極の形状最適化や、パターン電極によって触媒層内の白金がどの程度有効に使われるようになるか、といった課題を検討した。
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