研究課題/領域番号 |
21J12844
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 一己 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 米ぬか / 腸内細菌 / 腸内代謝物質 / 大腸炎 |
研究実績の概要 |
日本食に含まれる米の胚乳の外側の『米ぬか』を摂取すると大腸炎が抑制されることが報告されているが,詳細な分子メカニズムは明らかにされていない.申請者は米ぬかが腸内環境全体に与える影響を明らかにするために,網羅的な解析を組み合わせたマルチオミクス解析とバイオインフォマティクスによって米ぬか摂取による腸内環境の変化を理解することを目的とした.これまでに大腸炎抑制に重要な米ぬか成分,腸内細菌,代謝物質,宿主の受容体を示した一方で,これらをつなぐより詳細な分子メカニズムが未解明のままであった.そこで本研究では,①大腸炎抑制細菌を増加させる米ぬかの食物繊維構造,大腸炎抑制細菌を介した②大腸炎抑制代謝物質の産生経路,その代謝物質の③宿主の受容体の局在とその後の④宿主の遺伝子発現変化を明らかにすることで,これまで曖昧に理解されていた栄養学と腸内細菌学を統合した,腸内環境栄養学という学問分野の立脚を目指した.本年度は米ぬか食物繊維の主成分である米ぬかアラビノキシランをマウスに摂取させた時の大腸炎抑制効果を評価した.結果として精製米ぬかアラビノキシランでは十分に大腸炎を抑制することができなかったことから,より複合的な食物繊維の重要性が示唆された.また,5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)の増加に関係する細菌を単離するために様々な条件下で培養を行なった.条件検討を完了し,来年度中に単離を実施する.さらに,AhR臓器特異的ノックアウトマウスを作成し,米ぬか摂取による大腸炎抑制に重要なAhR発現細胞を特定することに成功した.加えて,マウス腸管オルガノイドへの5-HIAA添加試験を実施し,RNAを抽出した.来年度中にRNA-seq解析を実施して,5-HIAA投与による宿主の遺伝子発現変化を特定する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画書の一部試験の実施順を入れ替えたが、食物繊維の重要な成分,大腸炎抑制性腸内細菌の単離条件の検討を完了し,おおむね計画通りに実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の方針は,大腸炎抑制に重要な腸内細菌の単離と,5-HIAA投与によって変化した宿主腸管上皮細胞の遺伝子変化を明らかにすることで大腸炎抑制メカニズム解明を目指す.
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