研究実績の概要 |
植物では、リボソーム生合成の異常により核小体ストレスが生じた場合に生長が抑制される。シロイヌナズナのANAC082はそのような核小体ストレス応答に重要な転写制御因子である (Ohbayashi et al. 2017, Plant Cell. 29:2644-2660)。本研究では、植物の核小体ストレス感知機構を解明するために、ANAC082遺伝子の核小体ストレスに応答した翻訳制御機構の解析を行った。その結果、核小体ストレスに応答してANAC082 mRNAの翻訳が促進され、ANAC082 mRNAの5’非翻訳領域に存在する上流ORFのアミノ酸配列がその翻訳制御に関与することを明らかにした。 また、リボソーム生合成に異常が生じた場合に翻訳を抑制する仕組みが存在する可能性が考えられる。ANAC082及びその下流で働くと考えられる因子が核小体ストレスに応答した翻訳制御に関与する可能性を検討するために、ANAC082または下流因子の過剰発現による翻訳への影響をリボソームプロファイリング解析を用いてゲノムワイドに解析した。この解析により、ANAC082や下流因子がグローバルな翻訳への影響と特定のmRNAの翻訳制御に関与する可能性の検討を行った。
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