(1)自然環境調和型PV/Tソーラーパネルの小型化・高効率化に関する研究 PV/Tソーラーパネルの小型・効率化を目的とし、凝縮部を銅管構造から扁平管構造にし、太陽電池の種類を単結晶シリコンからCISとしたPV/Tソーラーパネル装置を製作して実験を行った。このパネルは最大で太陽エネルギーの74%を熱・電力に同時に変換することが可能であることを示した。またPV/Tソーラーパネルの表面に設置するカバーガラスの影響を検証するため、PV/Tソーラーパネルのカバーガラスを、カバーガラスなし・白板カバーガラス設置・白板エンボスカバーガラス設置の3つの条件にして実験を行った。夏季において、白板エンボスカバーガラスを設置したPV/Tソーラーパネルの発電効率が11.5 %であるのに対し、カバーガラスを設置していないPV/Tソーラーパネルは発電効率が14.2 %と高く、効率面で有効であることを示した。また白板カバーガラスよりも白板エンボスカバーガラスの方が、パネル表面からの熱放射を抑制し、環境への熱負荷を削減できることを、集熱効率線図を用いて定量的に示した。 (2)PV/Tソーラーパネルを導入したゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の提案 開発したパネルを導入した、太陽エネルギー熱電供給設備システムを用いたゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の提案を、モンテカルロ・シミュレーションの手法を用いて行った。本研究では、全館暖冷房を行う戸建住宅を想定し、PV/Tソーラーパネルおよび通常の太陽電池の導入面積割合の検討を行った。計算の結果、最適導入面積割合時に住宅の約98%のエネルギーを太陽エネルギーのみで供給可能であることを示した。本研究では全館暖房を行う想定のため熱需要が大きいが、PV/T ソーラーパネルを用いて直接熱供給を行うことで、ZEHの実現が可能であることを示した。
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