研究課題/領域番号 |
21J13327
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山本 みずき 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | ファシズム / インテリジェンス / MI5 / 内務省 / 英国 / 政治的急進主義 / 政治社会秩序 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国勢力と結びついた戦間期の「英国ファシズム」運動を事例に、既存の政治体制を転覆することを目指した政治的急進主義の台頭に直面した英国政府が、いかなる手法で英国の政治社会秩序を維持したのかを解明することを目指すものである。本研究の研究手法は主に一次史料の調査・分析である。初年度である2021年には英国国立公文書館、シェフィールド大学特別資料室等にて目的の未公刊文書の7割程度を収集することができた。それらの史料を使用して論文執筆を進めたほか、本研究の一部を構成する論文「越境するファシズムーーダイアナ・ミットフォードとBUFのナチスへの接近」『法学政治学論究』第129号、2021年6月、131-165頁を査読誌にて発表した。その他、本研究の問題意識を一部共有するMichel Walzer, The Revolution of the Saints (Harvard University Press, 1965)の翻訳チームに訳者の一員として加わり、マイケル・ウォルツァー著、萩原能久監訳『聖徒の革命』(風行社、2022年3月)を刊行した。また、ケンブリッジ大学のDan Larsen等が主催するCambridge Intelligence Seminarにも積極的に参加し、インテリジェンス関連の史料の扱い方や研究手法についても学ぶことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により英国での史料収集がなかなか実現せず、2021年度前期は過去に集めた史料による論文執筆と、二次文献を精査することに終始し、新たな論文執筆のために史料分析を進められたのは2021年12月以降であった。それ故「当初の計画以上に進展している」ではなく「おおむね順調に進展している」を選んだ。しかしそれでも、年度内に査読付き論文を1本発表したほか、本研究と問題意識を共有する著作の訳書を刊行した。また、コロナがやや落ち着いた時期に約1ヵ月かけて英国各地にて史料収集を行い、それらの分析は着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き歴史叙述の手法により研究を遂行する。英国での史料収集を行い、史料分析を経て論文として成果を発表予定である。
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