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2022 年度 実績報告書

宮沢賢治の「生命」教育思想:新教育・近代仏教・農業との関係への思想史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 21J13359
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

深田 愛乃  慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2023-03-31
キーワード日本教育思想史 / 近代仏教 / 大正新教育 / 宮沢賢治 / 東北農村 / 日蓮主義 / 宗教と教育
研究実績の概要

本研究は、宮沢賢治における教育・仏教・農業に関する実践やテクストの考察から賢治の「教育思想」を浮き彫りにし、同時代の思想史的文脈に位置づけることを目指すものである。2022年度は、①賢治と大正新教育の思想的関連性と②賢治への近代仏教による影響について調査を進めた。
①では、第一に岩手県の新聞・雑誌資料の調査を通して、大正新教育を軸とした、花巻高等女学校音楽教師・藤原嘉藤治と賢治の共鳴を描き出すことを試みた。これにより、嘉藤治は近代自然科学による世界の断片化を問題視し、より大きな宇宙生命に根ざした生を強調したこと、賢治と嘉藤治は独特な宇宙=自然観に基づく芸術による人間形成への関心を共有したことを示した。本成果は、2022年度教育史学会大会で発表した。
第二に、賢治における大正新教育と仏教思想の関わりについて、岩手県師範学校附属小学校訓導のキリスト者・佐藤瑞彦との対比を手がかりに探り、両者の生命観とそこから導き出される「個(個性)」の捉え方の共通点と差異を明らかにした。瑞彦が責任ある主体としての人格形成を唱え、他者との社会的関係の中で「個」を捉えた一方で、賢治の個性観は仏教の宇宙論的生命観に基づくものであり、それが自然とともに生きる「農」の道へと進む源泉となった可能性を示した。本成果は、2022年度教育哲学会大会で発表した。
②では、賢治と法華系在家教団・国柱会における「教育」の相違と重なりについて、国柱会の機関紙を資料として検討し、国柱会の主張では「国体的人格」の育成へ、賢治においては「農」を重視した「地人」の道へと向かう方向性が示されていたことを明らかにした。本成果は、論文「宮沢賢治と国柱会における「教育」―国柱会機関紙『天業民報』『大日本』を資料として」として『哲學』第150集に投稿した。また、賢治の短歌作品に表れた仏教思想を検討し、『評釈 宮沢賢治短歌百選』に原稿を投稿した。

現在までの達成度 (段落)

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 宮沢賢治と国柱会における「教育」―国柱会機関紙『天業民報』『大日本』を資料として2023

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 雑誌名

      哲學

      巻: 150 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 宮沢賢治の日蓮主義「受容」―『摂折御文/僧俗御判』の分析を通して2022

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 雑誌名

      近代仏教

      巻: 29 ページ: 54-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 宮沢賢治の文学作品に見る「教育」―法華経信仰との関わりを探るために2022

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 雑誌名

      賢治学+

      巻: 2 ページ: 226-245

  • [学会発表] 佐藤瑞彦による国語科作文教育「創作」の実践と思想―組合教会的キリスト教信仰の影響を探る2023

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 学会等名
      全国大学国語教育学会
  • [学会発表] 1910-20年代の岩手県における「大正新教育」の展開―宮沢賢治と藤原嘉藤治の交流を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 学会等名
      教育史学会
  • [学会発表] 大正新教育と宗教思想―宮沢賢治と佐藤瑞彦における「生命観」をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      深田愛乃
    • 学会等名
      教育哲学会
  • [図書] 評釈 宮沢賢治短歌百選2023

    • 著者名/発表者名
      宮沢賢治研究会編
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      地人館

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公開日: 2023-12-25  

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