研究課題/領域番号 |
21J13556
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅家 卓哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 卵巣 / FGF / 顆粒層細胞 |
研究実績の概要 |
卵巣は女性ホルモンの産生などの内分泌機能と、卵母細胞の産生機能を持つ、メスの生殖システムの中核を担う重要な臓器である。しかし、卵巣機能異常に起因する家畜繁殖障害や女性不妊症といった課題は山積しており、この根底には、卵巣異常・疾患に至る原因や発症機序の多くが未だ解明できていない現状がある。本研究では線維芽細胞増殖因子(FGF)に着目し、マウスをモデルに卵巣機能制御メカニズムの解析を行う。これまでの研究から顆粒層細胞特異的FGFシグナル欠損モデル(Fgfr2-cKO)マウスの繁殖能力低下及び、その原因として解糖活性低下やホルモン産生異常の可能性を見出している。本年度は主に、FGFシグナル異常に起因する解糖活性低下が卵の発達に与える影響の解析を行った。卵母細胞は自身でグルコースを代謝することができないため、自身が分泌する増殖因子を介して周囲の卵丘細胞の解糖活性を向上させ、そこから解糖代謝基質の供給を受けていることが知られている。そこで、卵丘細胞の解糖活性及び、卵母細胞の代謝支持能を体外成熟培養系を用いて解析した結果、培地から解糖代謝基質を除いた場合にFgfr2-cKOマウスにおける卵成熟率が対照区と比較して有意に低下していた。このことから、Fgfr2-cKOマウス卵巣内における解糖活性異常が卵成熟や卵の質に影響をおよぼす可能性が考えられた。さらに、この卵丘細胞における卵母細胞の代謝支持能の低下が卵の質に影響を与えているか否かを検証するために、体外受精及び、胚移植を通じてFgfr2-cKOマウスの卵の質を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19パンデミックによる影響により当初の予定と異なる点はあるが、現在までに、培養下においてFgfr2-cKOマウス卵の成熟に異常が生じていることが明らかにすることができた。Fgfr2-cKOマウス卵の発生能評価においては、胚移植を行った際の発生率・着床率を基に評価する予定だが、そのために必要な技術を習得し、解析を進めている。さらに、網羅的遺伝子発現解析に向けた準備も進めており、本年度中には行える見込みである。以上のことから、おおむね順調に計画は進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
Fgfr2-cKOマウス卵の質を評価するために、体外受精・胚移植を行って受精率や発生率、着床率などをもとに、卵の発生能の評価を行う。また、Fgfr2-cKOマウス卵巣内における異常を包括的に理解するため、網羅的遺伝子発現解析も行う。この解析から得られた知見を基に、Fgfr2-cKOマウス卵巣の器官培養系において、代謝産物・薬剤などの添加や、遺伝子導入などによる解糖活性の改善が卵巣機能に与える影響を解析する。以上の解析より、卵巣内におけるFGFシグナリングが個体の繁殖能力に与える影響を理解する。
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