【HIEモデルラットに対する低体温療法施行法の確立 in vivo】 生後7日齢ラットを用いてHIEモデルラットの作製を行なった。新生仔ラットは体温調節が不安定であったが、小動物用の直腸温測定プローブと独自の飼育温度管理法により安定して低体温(直腸温33.5℃)を誘導することに成功した。低体温群では通常体温群(直腸温37℃)と比較して脳傷害領域が減少し、神経保護効果が確認できた。また、低体温群の脳では神経保護因子であるエリスロポエチン(EPO)の発現上昇がみられ、in vitroの結果と一致した。さらに、低体温群HIEモデルラットの脳においては、代謝センサーであるAMPKが活性化することが明らかとなった。この結果を受けて、AMPKを調節する薬剤をHIEモデルラットに投与し、神経傷害性因子および神経保護因子の発現を解析した。さらに、脳凍結切片を作成し、活性化グリアの染色・観察を行なった。 【培養グリアにおける代謝シグナルの解析 in vitro】 培養グリアを用いて代謝シグナル解析および、神経傷害性因子と神経保護因子の発現を解析した。AMPK調節薬はミクログリアの傷害性因子発現を抑制しただけでなく、アストロサイトのEPO発現を増強させた。 以上のin vivoおよびin vitroの解析の結果、代謝センサーAMPKによるグリア制御を介した神経保護効果が示唆された。
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