研究課題/領域番号 |
21J14235
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 舜 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 島嶼生物学 / 群集構造 / 陸産貝類 |
研究実績の概要 |
生物群集における優占種の形質進化は、捕食者や環境を介して他の構成種の形質進化を促し、群集の形質分布を異なるものにする。しかしこのような相互作用は時間と共に変化するため、長期的なダイナミクスを実証した例は少ない。本研究では、伊豆半島と伊豆諸島に生息する陸産貝類に注目し、優占種シモダマイマイの形質進化がどのように、群集内の他種類の形質進化に波及するのかを検証する。そのためまず、形成年代が異なる伊豆諸島の各島と伊豆半島で陸産貝類群集の構造を把握する。その上で、群集内の優占種における形質頻度や各島への進出年代を推定し、群集全体の形質分布と時系列変動を明らかにする。同時に野外実験により環境からの効果量や、メタバーコーディングにより群集内の被食種の動態を調べる。さらに、RNA-seqによりシモダマイマイの形質の遺伝的基盤を推定することで、形質進化のドミノ効果が遺伝的基盤に基づくことを裏付ける。 今年度は伊豆半島・伊豆諸島の一部の島で200を超える地点で定量調査を実施することができた。これにより、いくつかの種類では島ごとに形質進化が生じている可能性が考えられた。また一部の種類ではddRAD-seqによるシークエンスを実施し、地史を反映した二次的接触が生じたことが明らかになった。さらに本研究では捕食者となるアカネズミの調査も実施することができた。これにより島ごとに、各種陸産貝類へのアカネズミの影響を調べることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスのため、本年度の6月から10月に予定していた野外調査を実施することができなかった。予定を12月に変更することも検討したものの、悪天候や時期が不適切なため調査時期の調整ができず、断念をした。したがって、遺伝解析に用いるサンプルを、本年度中に全て確保することができなかった。以上の理由により、進歩業況区分をやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は定量調査を実施できなかった島でも調査を実施し、系統関係を考慮した上で、各種の形質進化の同調性を明らかにする必要がある。したがって、来年度は調査ができなかった島での群集調査を優先し、その後、各種統計解析を実施する予定である。
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