研究課題
本研究では、釘接合部の繰り返し加力実験、耐力壁の繰り返し加力実験、複数回の小・中地震による剛性劣化を想定した木造住宅の振動解析の3ステップによって、使用期間中に複数回受ける可能性がある小・中地震を原因とする繰り返し変形が木造住宅の大地震時の応答変形に与える影響について検討した。合板、OSB、MDF、石膏ボードを面材料とした釘接合部の繰り返し実験では、小変形の繰り返しは強度特性値には影響しないものの、同一振幅が繰り返される状況において、1/2000radといった微小な変形の場合でも、指向点荷重が低下することを確認した。同様に、合板耐力壁と石膏ボード壁について繰り返し加力実験をおこなった結果、1/200rad以下の小変形の繰り返し時においても最大で2割程度の荷重低下が確認され、これに伴う等価剛性の低下が認められた。一方で、接合部実験同様に強度特性値には大きな影響を与えないことが明らかとなった。また、釘接合部の劣化傾向を既存の面材張り大壁の耐力計算方法に適用することで、実大壁の荷重低下傾向を概ね説明可能であることがわかった。合板耐力壁および石膏ボード壁を耐力要素とし、木造住宅が複数回の小・中地震を経験した後に大地震を被災する場合を想定した地震応答解析を実施した結果、著しく耐震性能の低い住宅を除けば、小変形の繰り返しが大地震時の応答変形に与える影響は小さいことが明らかとなった。ただし、震度5弱を超えるような地震の場合には、その後の大地震時の応答変形が増加する可能性が示され、設計時の耐震性能に余力を持たせておくことの重要性を改めて示す結果となった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Construction and Building Materials
巻: 364 ページ: 130016~130016
10.1016/j.conbuildmat.2022.130016
巻: 342 ページ: 128044~128044
10.1016/j.conbuildmat.2022.128044