研究実績の概要 |
本研究では, Niを活性金属とした高性能なアンモニア分解触媒を開発するために, ペロブスカイト型構造を持つ新規酸窒化物を合成しアンモニア分解反応に対する促進効果や酸窒化物の表面における反応機構の解明を目的としている. 本年度は, 研究計画に従い新規ペロブスカイト型酸窒化物の開発を試みた.当初はアルカリ金属アミドを前駆体として利用する予定であったが, BaH2とTiO2を固相反応させることによってヒドリドイオン(H-)を高密度に含有する水安定なh-BaTiO3-xHxの合成に成功した.本材料を窒素気流下で焼成するとH-イオンが窒素イオン(N3-)に置き換わりh-BaTiO(3-x)Nyを得ることができた。本材料にNiを担持した触媒のアンモニア分解活性を評価したところ, BaTiO3を担体としたNi触媒に比べて著しく高い触媒活性を示した. また, 格子窒素の導入により触媒動作温度が約120℃低温化することがわかった. さらに,Niを担持していないh-BaTiO3-xNyがアンモニア分解活性を示すことから担体の表面に活性サイトが存在すると考えられる.赤外分光法や同位体ガスを用いた実験により, 酸窒化物に含まれる格子窒素がアンモニア分解反応に寄与しており金属-担体の界面におけるアニオン欠陥サイトにおいてアンモニア分子が活性化されることが示唆された.
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