まず本研究においては極値組合せ論は重要な道具であり、いくつかの結果を理解する必要があった。これについては昨年度に引き続き行い、理解を深めた。次に最小固有値-3以上のグラフの複雑さに関する問題について述べる。このテーマでは最小固有問-3以上のグラフをノルム3で生成される整格子(以下、3格子)に変換して、その複雑性を調査するものであった。まず、最小固有値-2以上のグラフを3格子にした際の複雑さについて昨年より詳細な結果を得た。また、アルゴリズムや格子とグラフに関する理論を改善することで、昨年度に引き続き具体的な最小固有値-3以上のグラフの複雑性を明らかにした。 一方で最小固有値-3以上のグラフのコーンと共通角度がarccos(1/5)の原点を通る直線族(以下、等角直線属)の間に対応があるという理由から、等角直線属に対する応用を与えた。特に主張な結果として、Lemmens-Seidel予想を証明した。これはレメンズ氏とサイデル氏によって1973年に提起されたもので共通角度arccos(1/5)の等角直線族に関する予想である。Lemmens氏ら、2020年のLin氏らの結果、2022年のCao氏らの結果によって一度は証明されたとされていたが、不備を指摘し別の手法を用いることで証明を修正した。さらに、直線族に関するGreaves氏らの2021年の問題とCao氏らの2022年の問題を格子を用いて解決した。このような研究の中でグラフ、直線族、格子の間の新たな変換の発見などにも繋がった。
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