研究課題/領域番号 |
21J14498
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小池 優巴 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | ゲルアクチュエータ / フォトクロミック / 微細操作 / 単一細胞操作 |
研究実績の概要 |
①高速型ゲルアクチュエータの検討について 膨張速度の改善を目的とし,2つの方向からアプローチを行った.1つ目は,フォトクロミック材料を混合する方法である.これは,アゾベンゼンとシクロデキストリンの包摂錯体形成を用いる方法である.包摂錯体は,異なる波長の光を照射することでシス体,トランス体を切り替えることができる.これにより,膨張・収縮を包摂錯体の形態変化で誘起させることによって膨張・収縮の速度の改善を目指した.しかし,PNIPAAmは高分子鎖に異なる分子を結合させることによって相転移温度が変化していまい,今回の方法では速度の変化を確認することはできなかった.また,アゾベンゼンとシクロデキストリンの包摂錯体形成は水中のみで行われるため,収縮時のアクチュエータ内では,この原理を利用した方法は困難であることも確認した.2つ目は,ホールアレイ構造を有する方法である.これは,アクチュエータの表面積を増やすことによって水を吸収する面積を増やし,駆動速度の改善を行うものである.今回は,表面積比が約1.3倍のアクチュエータを作製し通常のアクチュエータと駆動速度の比較を行った.結果は,通常のアクチュエータとホールアレイ構造を有するアクチュエータで駆動速度の違いは見られなかった.その理由として,ホールアレイ構造を作製したことによって,全体の体積が変化してしまい,最大膨張時のアクチュエータの大きさが異なってしまったためだと考えられる. ②集積型ゲルアクチュエータを用いた細胞操作について 十字型の光駆動ゲルアクチュエータをマイクロ流体デバイス中に集積し,単一細胞の搬送・捕捉操作を行った.アクチュエータを十字型に設計することで,マイクロ流体デバイス内の流れを局所的に操作し,細胞の搬送を実現した.また,十字型のアクチュエータを組み合わせることによって細胞を捕捉する領域を作製し単一細胞の捕捉操作を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①2つの方向性から検討を行ったが思った結果を得ることができなかったため. ②集積型ゲルアクチュエータを駆動するためのシステムについての論文執筆を行った
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今後の研究の推進方策 |
①については,今回用いたフォトクロミック材料以外の材料を検討し,高速駆動可能なゲルアクチュエータの作製を目指す ②100個~の細胞を同時に操作可能なデバイスの設計を行い,実際に細胞集団内のコミュニケーション解析を目指す
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