研究実績の概要 |
1. 高速型ゲルアクチュエータの検討について 膨張速度の改善を目的としフォトクロミック材料を用いたマイクロアクチュエータの作製を行った。アクチュエータの材料には、光異性化分子であるアゾベンゼンを用いた。アゾベンゼンは異なる波長の光を照射することで分子構造が可逆的に変化することができる。その分子構造の反応速度は数ピコ秒と非常に高速であり、アゾベンゼンの光異性化により高分子全体が変形する。この変形をアクチュエータの変位として利用する。調整する光応答性高分子ゲルは高分子網目と有機溶媒によって構成される。モノマーに6FDA (4,4’-(Hexafluoroisopropylidene) diphthalicAnhydride) と、アゾベンゼンを分子構造に持つDAA (4,4’-Diaminoazobenzene)を用いる.有機溶媒にはDMF を使用する。これらに架橋剤のTAPB を添加して高分子ゲルを調製する。作製したゲルアクチュエータに430nmの光を照射することでアクチュエータは収縮し、反対に520nmの光を照射することによってアクチュエータが膨張することを確認した。収縮には約60秒、膨張には約70秒を要し、繰り返し変形できることを確認した。 2. 集積型ゲルアクチュエータを用いた細胞操作について マイクロ流体デバイス内で細胞操作を行うために、流れの制御を目的として光駆動型のゲルアクチュエータを十字型に設計し集積化を行った。十字型のアクチュエータの利点として、マイクロ流体デバイス内の流体抵抗を局所的に変更し、流れを操作・制御できることが挙げられる。また、4つの十字型アクチュエータを組み合わせることで1つの細胞を補足可能なチャンバーを作製することができる。実際にこの十字型光駆動ゲルアクチュエータを用いて単一細胞の搬送および補足操作を実現した。
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