研究課題
曝気を用いない低コストな「微細藻類-硝化菌共存系」を光強度の高い環境下に応用するため、光耐性の弱い硝化菌のみを遮光ゲル担体に固定化し、それを微細藻類-硝化菌共存系に用いた新規窒素除去プロセスの開発を行った。本年度は、異なるバイオマス比による微細藻類-硝化菌共存系の半連続実験を実施した。微細藻類としてChlorella sorokiniana、硝化菌として耐久性を有するポリビニルアルコール・アルギン酸複合(PVA-SA)ゲルで硝化菌を固定化した遮光ゲル担体をバイオマス比(微細藻類:硝化菌)10:0、7:3、5:5、3:7、1:9、0:10の6条件となるように調節し、増殖速度の速い微細藻類を24時間おきに濾過することで任意のバイオマス比となるよう調節した。アンモニア負荷速度は100-500 mg-N/L/dの範囲でPhase 1-3において段階的に増加させ、Phase 4では再度Phase 1の低負荷に戻すことで、高負荷耐性および性能回復について評価を行った。その結果、Phase 1-2ではバイオマス比による影響はほとんど確認されなかったものの、高負荷条件であるPhase 3において、7:3のような微細藻類割合が高いバイオマス比では、高いpH阻害によりアンモニア除去性能が低下した。結果として、Phase 3で最も高いアンモニア除去性能である113 mg-N/L/dを示したバイオマス比は1:9であった。さらに、1:9ではリアクター内の高い光透過性による光合成効率の向上により、2.6 g-dryの最も高いバイオマス回収量を得ることができた。本研究により、微細藻類と硝化菌固定化遮光ゲル担体の簡便な分離方法を用いて、新しいバイオマス比制御可能な微細藻類-硝化菌共存系プロセスを考案し、その高いアンモニア除去性能および微細藻類回収量を示す最適なバイオマス比が1:9であることを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochemical Engineering Journal
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