研究実績の概要 |
本研究では、ビフィズス菌を選択的に増殖させることのできる次世代型プレバイオティクス候補としてスクリーニングしたガラクトシル-beta-1,4-ラムノース(以下、GalRha)が持つプレバイオティクス効果と、疾病予防・治療への応用利用可能性の解析を行った。 前年度までに、ビフィズス菌のGalRhaの取り込み機構の一部として、トランスポーター遺伝子を同定した。今年度は、ビフィズス菌がトランスポーターを介してGalRhaを取り込んだ後、糖質分解酵素を用いて分解し、利用していると仮定し、糖質分解酵素を同定することを目指した。ゲノム上でGalRhaトランスポーター遺伝子の近傍に存在するbeta-ガラクトシダーゼをコードする遺伝子を推定GalRha分解酵素遺伝子とし、遺伝子変異株を作製した。推定GalRha分解酵素遺伝子破壊株を、GalRhaを単一糖源とする培地を用いて培養を行ったが、野生株と比較して生育に差は見られなかった。 また、本研究では、96穴プレートの各ウェルにGifu Anaerobic Medium (GAM培地) を分注し、32種の腸内細菌種を一斉に培養することで、糖質が各腸内細菌に与える増殖促進効果について解析し、次世代型プレバイオティクス候補物質を選抜してきた。次世代型プレバイオティクス候補物質を選抜するためには、試験糖質について、より多くの腸内細菌に対する増殖促進効果を調べることが望ましい。そこで、今年度はGAM培地に代わる多数の細菌を培養することのできる培地の開発を目指し、改良した培地を用いてどの腸内細菌種を培養することができるのかを解析した。
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