研究課題/領域番号 |
21J14691
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
葵 理恵 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 亜硝酸酸化細菌 / Toxin-Antitoxin / RNA切断酵素 / MazF |
研究実績の概要 |
これまでの研究において、Nitrospiraに保存されるRNA切断酵素MazFの配列特異性を特定した。また、MazFの認識配列がNitrospiraのエネルギー代謝関連遺伝子に有意に多く存在することから、MazFがNitrospiraの低活性状態への移行に関与することが示唆された。そこで本研究では、Nitrospiraの低活性状態への移行の一連の分子メカニズムの解明を目的とし、当該年度は①細胞内におけるMazF発現量の検出手法の開発と②それを利用したMazFの発現を誘発する環境因子の特定を計画した。培養細胞からMazFおよびその発現を制御するタンパク質MazEを抽出し、質量分析を用いて定量的プロテオーム解析を行なった。細胞の培養条件、タンパク質の抽出条件、質量分析器の運転条件などを検討したが、安定してタンパク質を多く検出することはできなかった。このため、MazFの発現を誘発する環境因子を特定することはできなかった。 一方、本来の計画にはなかったが、前述のMazFとは異なる新たなMazFをNitrospiraのゲノム上から特定し、その酵素機能を解析した。Nitrospiraに保存される2つのMazFはRNAに対する配列特異性や至適条件が大きく異なり、これらMazFが異なる環境因子に誘発され、異なる生理学的意義を持つ可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞内におけるMazF発現量の検出手法の開発が難航したため、その後に行う予定であったMazFの発現を誘発する環境因子の特定ができなかった。しかし、新たなMazFの特定とその機能解析により、NitrospiraにはRNAに対する配列特異性や至適条件が大きく異なる2つのMazFが保存されることが明らかとなった。このデータはNitrospiraがMazFを保有する生理学的意義について考察の幅を大きく広げたため、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析を用いた定量的プロテオーム解析が困難であると判断したため、タンパク質への翻訳に利用されるmRNAの転写量を標的として解析を進めることにした。異なる環境下で培養したNitrospiraからRNAを抽出し、検出精度・感度の高いRT-ddPCRを用いてMazFの発現量を定量する。
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