研究課題/領域番号 |
21J14773
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
高橋 泰伽 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | In vivo 2光子顕微鏡法 / ナノシート / ナノマテリアル / オープンスカル法 / 脳神経科学 / 二光子顕微鏡 / In vivo イメージング |
研究実績の概要 |
脳の作動原理や精神疾患の機序を解明する上では、細胞一つの活動だけではなく、ネットワーク全体の同期的な活動を計測する必要がある。しかし、マウス生体脳内の単一神経細胞の観察に用いられるin vivo二光子顕微鏡法は、脳表層の狭い領域を高精細に光イメージングするには適しているが、脳深部かつ広範囲での観察は困難であった。この原因の一つは、マウス生体脳の神経細胞を高解像度で観察するにあたって使用される、頭蓋骨の一部を除去してカバーガラスで置換して観察窓を作成する手術(オープンスカル法)にあった。 そこで、本研究では、(1)新規ナノ材料の高分子超薄膜 (ナノシート)を用いたオープンスカル法の改良、(2)脳広範囲に蛍光プローブを導入する新規手法の開発、(3)脳深部観察に適した高出力の長波長レーザー光源の導入を統合的に進め、長期間にわたって同一個体のマウスの脳深部かつ広範囲において単一神経細胞の光イメージングできる手法の確立を目指す。 本年度は、ナノシートを活用したオープンスカル法の改良として、新規光学素材を用いることにより、従来課題であった心拍による視野ブレの低減および長期観察の実現に成功した。さらに、新規開発した観察窓を活用して、遺伝子組み換えマウスにおいて神経細胞の形態イメージングに、アデノ随伴ウイルスを使用して蛍光カルシウムセンサーを導入したマウスにおいて神経細胞のCa2+イメージングに成功し、新規手法の実用性を確認した。本成果について、現在原著論文の作成を行っている。また、本研究に関連してナノシートを用いた観察窓作成手法を詳説した原著論文を発表した(Takahashi et al., STAR Protocols 2, 10054)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の目的であるナノシートを活用した観察窓の改良を達成した。 これまでナノシートを用いた観察窓では、覚醒マウスの心拍や活動によって観察時に視野ブレが生じることが課題であった。加えて、ナノシートのみでは長期間にわたって観察窓の透明性を保持することができない点も課題であった。これに対して、ナノシートに加えて新規光学用素材を活用することによって、観察時の視野ブレの低減および長期間にわたる観察窓の透明性の保持に成功した。さらに、開発した観察窓を用いて、マウス生体脳イメージングにも成功した。このことから、課題は当初計画していた通りおおむね改良できており、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでに開発した観察窓作成手法の最適化に加えて、脳広範囲への蛍光プローブ導入法の開発を行う。開発が困難である場合には、既存のアデノ随伴ウイルスを用いた脳全域への遺伝子導入法による蛍光プローブ発現法の活用を検討する。さらに、新規レーザー光源および波面収差補正デバイスなどの導入によって顕微鏡システムを改良し、脳深部イメージングの高精細化を実施予定である。これらによって、脳深部かつ広範囲において単一神経細胞の光イメージングを実現する手法の構築を目指す。また、最終年度中に本研究で得られた成果を原著論文として発表することを目指す。
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