研究課題/領域番号 |
21J14822
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
各務 響 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | トポロジカルフォトニクス / 光渦多重素子 / シリコンフォトニクス |
研究実績の概要 |
2021年度は、理論解析を用いてトポロジカルフォトニック結晶を用いた光渦デマルチプレクサを設計することを目指した。 一般的に、トポロジカルフォトニック結晶導波路を構成した場合、複数のモードが顕在化する。そこで、フォトニックバンドを意図的にずらすフォトニックバンドチューニングという手法を用いて、単一のモードのみを顕在化させようとした。このフォトニックバンドチューニングを施したトポロジカル伝送路について、光渦伝搬の理論検討および回路設計、4つの光渦状態を分解できる構造の設計・理論解析を行った。 フォトニックバンドチューニングにおいては当初の予想と異ならず、特定の光渦状態を支配的に伝搬させるトポロジカル導波路を構成できることが分かった。また、フォトニックバンドチューニングを施したトポロジカルフォトニック結晶を集積することにより、光渦の状態によってトポロジカルフォトニクス系内で4つの光渦状態を4方向に分岐させる構造について理論解析を行ったところ、正しく4方向に分岐することが確認できた。 また、本研究を進めるにあたり垂直方向からトポロジカルフォトニクス系への光の入射が必須となるが、この際に結合効率が非常に低いことが分かったため、当初の計画を若干変更し、垂直キャビティを提案することで、結合効率の向上を図った。結果として、欠陥キャビティにより結合効率を波長1530 nmにおいて44倍に引き上げることを解析によって確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標としてもともと欠陥キャビティの提案は含まれていなかった。これに伴い、フォトニックバンドチューニングを行ったトポロジカル伝送路における光渦の伝搬評価を最終年度に行う予定となったが、設計・理論解析は本年度において完了したため、研究自体はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初と予定を変更し、本年度まで理論解析を先行させ、当初の目標以上に進展している。今後はこれまでの解析結果をもとに作製・評価を行う。 主に、垂直キャビティの作製・評価および最終目標となる光渦分岐回路について本年度は実証実験を行う予定である。
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