研究課題
これまで、Phe-Pro (FP) はコレステロール (CHOL) 代謝を改善する作用を有することを、PepT1欠損マウスへの経口投与試験 (600 mg/kg/day) で明らかにしてきた。他方、摂取後のFPの生体内での作用機序については不明のままであった。昨年度は、Wistar系雄ラット (11週齢) にFPを単回経口投与 (600 mg/kg) し、門脈採血をおこなった。その後、AccQ Tagアミン誘導体化LC-TOF/MS法 (内標準:[13C9,15N1] FP) により血中濃度を測定し、FPが0.485 nmol/mL-plasma存在することを判明し体内吸収性を証明した。そこで、今年度はこれらの濃度をベースに、HepG2細胞でCHOL代謝改善作用の影響を評価した。1.生理的血中濃度FPはCHOL蓄積を抑制する血中濃度レベルでHepG2細胞に対するFP添加の影響を検討したところ、0.485 nmol/mL濃度のFP添加によって細胞内CHOL濃度は有意に低下し、CHOL分解系律速酵素であるCYP7A1やPPARα mRNAレベルは有意に増加した。FPの構成アミノ酸混合物(F + P)では低下作用は認められなかった。また、PPARαアンタゴニスト存在下でFPの作用が消失したことから、FPはPPARα刺激を介して作用発現していると推察された。2.FPはPPARαの新規リガンドであるAlphaFold2を用いたin silico解析によって、FPを含む132種類のジペプチドにPPARαとの相互作用が認められ、PPARαのリガンド候補となりうることが示された。以上より、FPはPPARαのリガンドとして作用し、肝臓においてCHOL代謝を改善する作用を有するペプチド体であることが示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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