研究課題/領域番号 |
21J14849
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
澁谷 美和 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 生物医学 / 説明モデル / 信念 / 臨床コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本調査では認知症をテーマに、主にその介護家族者を調査対象にして、彼らが認知症をどのように理解し、それに対する治療についての考え方(説明モデル)が、いかなる点で生物医学的説明モデルのものと異なるかを明らかにし、臨床場面のコミュニケーションで起こる(起こりうる)問題について考察する。調査目的を達成するため、本年度は以下三つの調査を行った。 調査プロジェクトの一つ目がインタビューであり、家族介護者に複数回のインタビューを行った。インタビュー目的は二つあり、一つは介護家族者の認知症というものをどのように理解しているかを問い、彼らの認知症概念と生物医学的に主流とされる概念との相違点を明らかにすることであった。二つ目は、介護家族者が根治困難な認知症の原因疾患に関して、医療セクターにどのような期待や希望をもっているのかを明らかにしながら、彼らの説明モデルに対して、属性や治療評価との関連について明らかにすることであった。これら二つのインタビュープロジェクトにおいて、計49回インタビュー調査を実施し、現在その分析を行っている。 調査プロジェクトの二つ目が病院での観察調査である。ある認知症当事者とその家族を対象に、彼らが認知症治療のために通う病院での診療の様子を調査した。この調査の目的は、ある家族介護者の視点から診療経験を明らかにし、治療者と患者・家族間の臨床場面における実際のコミュニケーションについて具体的に記述することである。 調査プロジェクトの三つ目が在宅介護の観察調査である。二つ目の調査プロジェクトと同じ認知症当事者とその家族を対象に、在宅での介護の様子を調査した。この調査の目的は、介護者の視点から認知症当事者との日々の生活経験を問い、その経験理解が成立する背景を分析することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文の核となるインタビュー調査についてはほぼ終了しており、この点ではおおむね順調にデータ収集できたと考えている。ただ、観察調査については、コロナ感染の懸念から観察対象者との接触がなかなか難しいということがあり、観察で得られるデータは予定していたよりも不足している状態である。結果、総合的に評価して現在までの進捗状況はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
二つの調査プロジェクトである、病院での観察調査と在宅介護の観察調査を引き続き調査していく予定である。
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