研究課題/領域番号 |
21J15062
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森山 隼人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 多核金属錯体 / 電子伝導性 |
研究実績の概要 |
金属イオンと有機配位子が自己集合的に架橋した無限の周期構造を有するMOFは、従来の多孔性物質と比較して優れた分子吸着能や触媒能を示すのに加え、金属イオンと有機配位子の無限の組み合わせによる設計性の高さから盛んに研究が行われてきた。近年、MOFの新たな機能開拓として電子伝導性を付与させる研究が大きな注目を集めているが、一般的にMOFは有効な伝導パスを持たず絶縁体であるため、MOF骨格に適切な伝導パスを形成させることが必要不可欠である。そこで本研究では、一次元鎖方向に伝導パスを有し金属伝導性を発現する一次元ハロゲン架橋複核金属錯体(MMX-chain錯体)に着目した。MMX-chain錯体のジチオカルボキシラート配位子部分に余剰の配位サイトを導入し、金属イオンを介してMMX-chain錯体同士を連結することで、多孔性と電子伝導性の共存した三次元構造体(MMX-MOF)の合成および物性探索を行うことを目的とした。 本年度は、ジチオカルボキシラート配位子部分に余剰の配位サイトを有するMMX-chain錯体の合成に取り組んだ。その結果、余剰の配位サイト(カルボキシル基)に保護基(メチル基)が導入された新規MMX-chain錯体を得、単結晶X線回折測定による構造解析および電気伝導度測定から伝導性一次元鎖構造を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、余剰の配位サイト(カルボキシル基)に保護基(メチル基)が導入された新規MMX-chain錯体の合成に成功し、単結晶X線回折測定および電気伝導度測定から伝導性一次元鎖構造を明らかにした。メチル基の脱保護が成功すれば、金属イオンを介したMMX-chain錯体同士の連結が可能となり、多孔性と電子伝導性の共存した三次元構造体(MMX-MOF)の実現が期待される。 以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた錯体について、メチル基の脱保護条件の検討を行い、金属イオンを介したMMX-chain錯体同士の連結、すなわち多孔性と電子伝導性の共存した三次元構造体(MMX-MOF)の創製を目指し、電子伝導性、磁性、プロトン伝導性等の物性評価からゲスト吸脱着と伝導機構・磁気挙動の相関について議論する。
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