研究課題/領域番号 |
21J15095
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴田 翔平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | チンパンジー / ボノボ / オス / 攻撃性 / 離合集散 / Pan属 |
研究実績の概要 |
①. 2021年4月から6月まで、修士課程で記録したデータの解析と、その結果を基とした論文執筆を行った。カリンズ森林保護区のチンパンジーのオスは、順位に応じて参加するパーティサイズに異なる傾向を持つことが示唆された。特に低順位のオスは、交尾可能なメスの不在時、単独で遊動する傾向が他の順位のオスよりも高かった。また、パーティ内のオスの数が増加すると、その中でオスが受ける攻撃交渉も増加することが示唆された。本研究は「ウガンダ共和国、カリンズ森林保護区の野生チンパンジーのオスの社会関係とスペーシングパターン」として国際誌へ投稿した。②. 2021年6月以降は、2019年7月から2020年1月の野外調査で集めたコンゴ民主共和国、ルオー学術保護区ワンバにおける野生ボノボのオスの行動データを解析した。ワンバのボノボのオスは、他のオスがいないパーティに参加することはほとんどなく、パーティという視点では、常に他のオスと共に過ごしていることが示唆された。しかし、地上休息時のパーティ内での位置取りに注目すると、オス間が3m以内に近接する頻度は全体の20%未満であり、オス同士はパーティ内で距離を取り合っていることが示唆された。パーティ内で起きた攻撃交渉は全体の半数以上が特定の2頭のメスの息子の間で行われていた。このことから、ボノボのオスの順位をめぐる争いは母親が存命の一部のオス間で頻発し、その他のオスは攻撃交渉に関わることも少ないと示唆された。③. ①と②で解析したチンパンジーとボノボのオスの攻撃交渉と遊動傾向を比較し、結果を2021年9月のThe 16th International Symposium on Primatology and Wildlife Science にて発表した。④. 10月以降は、投稿していた①の論文の査読結果に対応するため、論文の修正及び追加の解析を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行により、2021年4月時点で予定していた10月からの海外調査が一度も実施できなかった。また、6月に投稿していた論文の審査結果がリジェクトとなり、その修正及び追加の解析に想定以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
海外での野外調査による追加データの取得ではなく、調査地で蓄積している長期データの分析を行うことで研究課題の遂行し、博士論文を執筆する。
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