らせんを反転して遊泳するスピロプラズマの遊泳メカニズムを明らかにするため、独自の遊泳装置リボンに 注目した。そこで、合成細菌jcvi-syn3B を用いたスピロプラズマ遊泳の再構成系に着目し、syn3B 細胞内 のリボン構造をクライオ電子線トモグラフィーを用いて構造解析した。バクテリアアクチンであるMreB4 と5を同時に、またスピロプラズマ特異的なフィブリルタンパク質を発現させたそれぞれのsyn3B 株と、 野生型であるスピロプラズマのリボン構造を比較することで、リボンの中央部分にMreB がその両サイドに フィブリルフィラメントがそれぞれ配向することを明らかにした。また、フィブリルフィラメントのin situ 構造を明らかにするためにサブトモグラム平均を行なったところ、フィブリルフィラメントは正電荷を 帯びた面が細胞膜と、また隣り合うフィラメント間では互いに分子表面電荷を打ち消すように、それぞれ相 互作用をすることを明らかにした。本研究により、遊泳装置の構成を分子レベルで明らかにしたことは、ス ピロプラズマ遊泳のさらなる理解に寄与すると考えられる。
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