本研究では、発生期の血管内皮細胞で特異的に発現し、血管新生に関与する遺伝子として同定したExoc3L (Exocyst Complex Component 3-Like Protein)遺伝子群に着目し、その中でも特にExoc3L2遺伝子を欠損したマウスの解析を行う。本研究ではExoc3L2の役割を個体レベルで明らかにすることで、血管新生の中でも血管の安定化を制御する新たな分子機構を解明することを目的としている。昨年度までの解析では、Tie2-Creマウスを用いて血管内皮細胞特異的にExoc3L2をKOしたコンディショナルKOマウスを作製し、このマウスが全身性のExoc3L2 KOマウスと同様に出血像を呈しながら胎生致死となることを明らかにした。VE-cadherinの細胞膜への輸送が出血の 原因と考えられたため、出血を呈するマウスの皮膚をサンプリングし、VE-cadherin抗体を用いて免疫染色を行なったが、コントロールマウス と比較してVE-cadherinタンパクの量や局在に差は見られなかった。一方、Exoc3L2 KOマウス、Exoc3L2 cKOマウスでは出血の他に、胎生期において心室壁の菲薄化が生じていることが明らかになった。
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