研究実績の概要 |
本研究テーマの目的は、低次元物質における励起子の自己捕獲現象を占有率制限密度半関数法で計算することで、発光スペクトルや捕獲ダイナミックスなどを導出することが目的である。 令和3年度には、零次元ペロブスカイトの一種であるCs3Bi2I9に関して自己捕獲励起子計算を行い、励起子の自己捕獲パターンが少なくとも4つ存在することを示した。各自の捕獲パターンの原子核緩和に伴う励起子自己捕獲の障壁や発光スペクトルを理論的に導出した。 本研究の成果は、令和3年度秋季日本物理学会や国際学会の口頭発表で発信している。それに加えて、類似した励起子捕獲機構を持つ、Mg不純物がドープされたGaNに関して、励起子捕獲に伴う不純物由来の発光スペクトルの計算を行い、発光スペクトルの応力制御について査読論文を発表した。[S. Bae et al., ACS Appl. Elec. Mater., 3, 12, 5257-5264 (November 2021)]物質への応力印加は原子配置に歪みを与えることで、励起子の自己捕獲による原子構造緩和に影響を与え、捕獲エネルギー障壁及び発行スペクトルのコントロールが可能になると期待される。
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