研究課題
本研究の目的は、低次元ペロブスカイト物質群における励起子自己捕獲現象による白色発光の機構を探究し、次世代の発光材料の設計のための指針を与えることが目的である。研究遂行においては捕獲励起子状態の計算に向けた密度汎関数法の手法拡張や、実際の物質にスペクトルおける発光スペクトルの計算をこころみた。研究遂行の結果、2つの側面において目標が達成できた。1)一般化勾配近似の枠組みで非局在的な自己相互作用補正を第一励起状態に適用することで、実用的な捕獲励起子状態の計算を可能にした。特に、空間的に局在したホールや電子の状態を近似的汎関数で計算するための効率的な自己相互作用を実装することで、重い計算コストを必要とする混成汎関数法よりも効果的な捕獲励起子の探索を可能にした。2)0次元と2次元構造を併せ持つCs3Bi2I9における励起子自己捕獲に伴うエネルギー表面を明らかにし、実験で観測される発光スペクトルの原因が解明できた。計算の結果、捕獲励起子は単一キャリアの自己捕獲よりも多彩な準安定状態を持つことが分かり、状況によっては最安定状態よりも準安定状態がより活発に発光に関わることを明らかにした。この結果は、捕獲状態の準安定状態の探索が特に発光材料の設計においては重要であることを示唆する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communicaitons
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