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2021 年度 実績報告書

量子異常ホール絶縁体/超伝導体ハイブリッド系におけるエキゾチック励起

研究課題

研究課題/領域番号 21J15526
研究機関名古屋大学

研究代表者

大橋 良伊  名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2023-03-31
キーワード量子ホール効果 / 超伝導体 / 輸送現象
研究実績の概要

本研究はエキゾチックな準粒子励起であるマヨラナフェルミオンおよびパラフェルミオンが出現する舞台の開拓を目的としたものである。
研究代表者はまず、従来より研究を行っている量子異常ホール絶縁体(QAH)と超伝導体(SC)とのハイブリッド系(QAH/SC)の発展を試みた。具体的には、先行研究ではSCとしてs波超伝導体のみを考慮したトポロジカル相を議論し、表面状態にカイラルマヨラナモードが現れることが知られていたが、本研究ではそれを拡張し、異方的超伝導体によるQAH/SCにおけるトポロジカルな特性の解明を試みた。
その結果、異方的超伝導体を用いたQAH/SCにおいて多様な表面状態が出現することを明らかとした。まず、p波超伝導体を適用した際には、dベクトルの向きによって表面状態が劇的に変化することを発見した。特に、dベクトルがy軸を向いた場合では、時間反転の破れたヘリカルマヨラナモードが出現することを明らかとした。それらの表面状態は、チャーン数が打ち消されるが、まきつき数によって保護されていることを示した。また、2次元平面に垂直なdベクトル、およびカイラルp波超伝導体の場合には2次元Bogoliubov Fermi面が存在することも示し、結晶対称性由来のZ2トポロジカル数で保護されていることを確認した。最後に、カイラルd波超伝導体の場合にはカイラリティの合成則が現れることを示した。これらはまたバンド基底に射影することで、解析的にも有効的に成立することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究においてはQAH/SCの表面状態として、エキゾチック励起の新たな舞台を提案することに成功した。一方で、それらはマヨラナフェルミオンであり、従来より考察されていた励起と同様のものであったこともまた確かである。
そのため、QAH/SCにとどまらず、よりエキゾチックな状態を示す舞台を探索する必要性が生じた。

今後の研究の推進方策

表面状態に表れるエキゾチック励起の一種として、分数量子ホール系におけるエニオン励起の存在に着目した。これらは、Laughlin状態においては可換なエニオンである一方で、Pfaffian状態においてはイジングエニオンによる非可換エニオンが生じることが期待されている。
そこで、本研究の目的の一つである「エキゾチック励起の輸送特性」について、分数量子ホール系を新たな舞台として携える予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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