研究課題
インフルエンザウイルスは毎年世界中で流行し、生命的な危機だけでなく、経済的損失など多くの被害をもたらすことから、予防や治療法の新規開発が必要とされている。そこで、本研究では、大豆イソフラボンのダイゼインによる抗インフルエンザウイルス作用メカニズムの解明を試みた。以前に、ダイゼインによる抗ウイルス作用機構として、脂質酸化酵素の5-リポキシゲナーゼ(5-LOX)の活性化が関与していることを報告した。そこで、第一に、ダイゼインが5-LOXを活性化させるシグナル伝達経路の探索と同定を行った。ダイゼインはイソフラボンでありエストロゲン受容体(ER)に結合することが知られている。そこで、5-LOX活性化におけるERの関与、さらに、G蛋白共役型受容体GPR30、ERに類似したエストロゲン関連受容体α(ERR;Estrogen related receptor)に対しても大豆イソフラボンが結合するも知られていることから、GPR30およびERRαに対する阻害剤のダイゼインの5-LOX活性化への影響も検討した。しかし、各受容体阻害剤によってダイゼインの5-LOXの活性促進が抑制されなかったことから、ER、GPR30、ERRへの結合による5-LOXの活性化ではないことが示唆された。次に、5-LOXの発現に関与するシグナル伝達経路、特にプロテインキナーゼを介したシグナル伝達経路への影響を解析した。5-LOXの酵素活性調節においては、MK2、PKA、MEK/ERK、Srcによってリン酸化される。そこで、各キナーゼの阻害剤あるいは促進剤を細胞に添加し、ダイゼインの5-LOX活性化を抑制できるかを評価した。その結果、MEK/ERK阻害剤によりダイゼインの5-LOX活性化が抑制されたことから、ダイゼインによるリン酸化部位が明らかとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
The Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 114 ページ: 109276~109276
10.1016/j.jnutbio.2023.109276