本研究では、核融合炉ブランケット内部の中性子分布を計測する手法の開発及び中性子分布からトリチウム増殖・生産量を評価した。 グラファイト・炭酸リチウムから成る20~40cm程度のブランケット模擬体系をDD、DT中性子源の近傍に配置し、内部に金属箔を1・2次元に配置することによって放射化、イメージングプレートでの測定を行った。また、トリチウムの生産量を評価するために3領域に分割した中性子エネルギーに対応する金属箔を用いて測定可能性を検討した。これらの照射実験・放射化分析の結果をモンテカルロによる輸送計算と比較した。 中性子計測の輸送計算との誤差を表すC/Eは0.3~3.5程度となり、計測に使用した金属箔のうち、有力なものと大きく誤差を伴ったものが明らかとなった。また、トリチウム生産量を測定するために照射に用いたDy、Mn、両Cd被覆箔のうちDy、Cd被覆Dy、Mnを熱・熱外領域に適用する上で有力であること、その上でイメージングプレートでの計測にはフェーディングや校正に一部課題があることなどを明らかにした。一方で、Al、Nbなどの高速中性子に閾値反応を持つ金属箔はイメージングプレートへの転写結果にばらつきがあり、確かな再現性を確認できなかった。これには、使用している金属箔の反応断面積、半減期及びイメージングプレートへの露光時間が影響していると考えられる。 本結果を以て、核融合炉ブランケット内部の中性子分布評価は金属箔とイメージングプレートを組み合わせることで、一部の改善点を残すものの十分可能な水準であることを明らかにした。
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