研究課題/領域番号 |
21J15902
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福田 将大 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化グラフェン / ダイヤモンド |
研究実績の概要 |
ダイヤモンドは窒素やホウ素、リンをドーピングすることにより、半導体特性、超伝導特性を示すことが知られている。これら物性の発現にはドーパントの制御が必要不可欠であり、化学気相成長法等の手法によってドーパントの制御の試みがされている。そこで申請者は、ドープダイヤモンドの炭素材料として、酸化グラフェン(GO)に着目した。添加剤を加え還元した酸化グラフェン還元体(rGO)は、酸素官能基のほとんどが脱離し、添加剤由来の異原子がドープされる。GOは高い化学反応性を有し、ホウ素やリンをはじめハロゲンなどもドープすることができる。このようにGOを用いることで様々な原子を炭素材料にドープすることができ、これらを原料に様々な原子をドープしたダイヤモンドの合成が可能となる。したがって本研究では、GO及び様々な方法で還元し種々の原子をドープしたrGOナノシートを原料とした機能性ダイヤモンドの開発を目指す。 採用までの準備期間のうちに作成した純粋なGOをもとに高温高圧法及び爆轟法により機能性ダイヤモンドの合成に着手した。合成後の試料は明褐色をしており、表面及び内部に形態的な差は観測されなかった。よって試料全体で均一に焼結していることがわかった。得られた試料はRaman分光測定や粉末X線回折により、詳細な特性を観察したところ、ダイヤモンドへの転移が明らかになった。しかし、GOの高すぎる反応性は不純物の生成を促してしまうといった問題点が明らかになった。ここまでの研究内容を論文として執筆し、論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果から、酸化グラフェンからダイヤモンドを合成することが可能であることが明らかになった。また、今後のダイヤモンドへの異種原子ドーピングを行っていくうえで、注意するべき点を多数明らかにし、より効率的な研究に着手することができる。 以上のことから本研究課題はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度で明らかになった問題点を改善し酸化グラフェンを用いた異種原子ドープドダイヤモンドの開発に着手する。その後、半導体や超伝導等の機能性の評価を行う。 また、高温高圧法に限らず、GOおよび異原子ドープrGOをLangmuir-Blodgett (LB)法や交互積層 (LBL)法により各種基板(ダイヤモンド、サファイア等 )上で積層させ、パルスレーザーを用いたダイヤモンドの合成手法の検討を行う。
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