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2023 年度 実績報告書

ケア倫理の批判的再構築:関係的自律と「家族」の機能に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 21K00007
研究機関山梨大学

研究代表者

秋葉 峻介  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80861012)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード人生の物語り / 自己の再構成・再創造 / 自己への配慮 / 自他関係 / ケア倫理 / 意思決定 / ACP
研究実績の概要

最終年度である2023年度は、生/死をめぐる意思決定において前提される「関係性」をあらためて問い直すことを含め、ケア倫理と自他関係、自己への配慮の議論との関連について分析し、それがいかにケア倫理の批判的再構築につながり得るのか考察する。そしてまた、そこで示される再構築された「倫理」がはたしてケア倫理の系譜に位置づけられるのか、あるいは生/死をめぐる意思決定に関する倫理の新しいあり方であるのかについて中心として取り組んだ。
研究成果の一部である博士学位論文の第5章から第7章において、家族倫理としてのケア倫理ではない仕方での関係性の把握や、別の仕方での倫理の在り方を検討した。また、ケア倫理や関係性といった論点を盛り込んだ生/死をめぐる意思決定の実践としてのACPや共同意思決定において、われわれが行っていることとは何なのかについて検討を加えた。これらにより、①関係性に着目した生/死をめぐる意思決定の実践においては、そのプロセスを通じて、われわれは「人生の物語り」あるいは自己自身を主体的に再構成・再創造している②この再構成・再想像とは、生のテクネー、自己に向けた自己の生の作品化である③この達成には、眼前に実在する他者との自他関係に限定されず、あるいはむしろ自己のうちに内面化した「可能的」な他者と自己との自他関係における自己自身への呼びかけが求められる、ということを明らかにした。
以上を踏まえ、これまでの研究成果を総括し、「人生の最終段階」の医療・ケアに関する理論的枠組みにおける生/死をめぐる意思決定の倫理について、自己のうちに内面化した自他関係によって成立する〈可能的自他関係における自己実現の倫理〉という新たな枠組みを提示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 死を選ぶことにより実現される「最善」に対する医師の義務2024

    • 著者名/発表者名
      秋葉峻介
    • 雑誌名

      医療と倫理

      巻: 14 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 医療・ケアをめぐる意思決定と「人生の物語り」の再構成・再創造2023

    • 著者名/発表者名
      秋葉峻介
    • 雑誌名

      医学哲学医学倫理

      巻: 41 ページ: 12-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生/死をめぐる意思決定の倫理2023

    • 著者名/発表者名
      秋葉峻介
    • 雑誌名

      博士学位論文(立命館大学大学院先端総合学術研究科)

      巻: - ページ: 1-147

  • [学会発表] 趣旨説明:人生の最終段階における意思決定をめぐって――物語的自己、ケアの倫理、共同意思決定2024

    • 著者名/発表者名
      秋葉峻介
    • 学会等名
      科研費公開研究会「人生の最終段階における意思決定をめぐって――物語的自己、ケアの倫理、共同意思決定」
  • [図書] ACPの考え方と実践2024

    • 著者名/発表者名
      会田薫子編(コラム1:秋葉峻介)
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4130624251
  • [図書] 生/死をめぐる意思決定の倫理(仮題)2024

    • 著者名/発表者名
      秋葉峻介
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      晃洋書房

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公開日: 2025-04-10  

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