研究課題/領域番号 |
21K00019
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石川 徳幸 日本大学, 法学部, 准教授 (70610913)
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研究分担者 |
塚本 晴二朗 日本大学, 法学部, 教授 (90217282)
上村 崇 福山平成大学, 福祉健康学部, 教授 (50712361)
眞嶋 俊造 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (50447059)
茨木 正治 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (10247463)
笹田 佳宏 日本大学, 法学部, 准教授 (00804361)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 党派性 / ジャーナリズム規範 |
研究実績の概要 |
「党派性」とは何かという根本的な問いや「党派性」の倫理的な善・悪/正・不正を考察し、その上で、ジャーナリズムの「党派性」について多角的な検討を行うという本研究の目的を達するため、共同研究のメンバーがそれぞれの領域から問題提起をおこないディスカッションを行う研究会を重ねた。そうしたなかで、応用倫理の視座をもってポスト・トゥルース時代におけるジャーナリズムの規範理論を再構築するために、「客観性」「中立性」「政治的公平性」といったジャーナリズムをめぐる言説の中で原則とされてきた諸概念の再検討に取り組んだ。 なかでも、スティーブン・J・A・ウォードが提唱したラジカル・メディア倫理学の視座を検討する議論が進んだ。ウォードは、デジタル化により専門職ジャーナリストではない、誰もが送り手として国境を越えて情報発信できるようになった現代において、絶対的な前提というようなものが必要な倫理学は相応しくないという立場を示している。一方で、ジャーナリズムという営みは制度的実践(Institutional Practice)と位置づけられるべきものであって、専門職ジャーナリストでないからといって、倫理学を無視していいということにはならないと主張する。こうした問題意識と、それに基づいて提唱された基準は、日本のジャーナリズム/メディア環境を考察する上でも有用である。 こうした議論を踏まえて、次年度はジャーナリズムの党派性を考察するうえで必要となるデモクラシーに関する哲学的考察と、ジャーナリズム倫理に関する実践的考察という2つのアプローチを採りながら、本研究の目的を果たしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により出張をともなう調査や研究会の実施に制限があったものの、オンライン会議システムを利用する等の方策により、共同研究の進捗に大きな支障は無かった。初年次としては、おおむね妥当な範囲で研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究会を定期的に重ね、メンバーが各々で進めた研究成果を共有し、その都度、共同研究の全体像のなかに位置づけを確認する。 また、そうした議論によって得られた知見をもとに、学会のワークショップを企画する。ワークショップを行う目的は、ここまでに得られた成果を関係する学会において還元するとともに、共同研究のメンバー以外の批評に触れることで、今後の議論を深める契機とするためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で当初予定していた出張がかなわない等の支障があったため、6名中4名が旅費を使用できず、6名中2名が物品費を使用しなかった。 翌年度使用額が生じたことにより、当初の研究計画よりも研究会の機会を増やすことが可能となるため、より積極的に議論の場を設けたい。
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