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2023 年度 実施状況報告書

秋山罷斎の基礎的文献研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00055
研究機関東洋大学

研究代表者

白井 順  東洋大学, 文学部, 教授 (20534689)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード秋山罷斎 / 明治崎門学派 / 吉田英厚 / 道学協会
研究実績の概要

2023年度は秋山罷斎の門人である吉田英厚について研究を進めた。吉田英厚は舞田敦と共に、『道学遺書』編纂に尽力し、楠本積水『崎門学脈系譜』にも序を寄せる重要な人物である。明治16年にはすでに吉田英厚は秋山の門人となっていたことが昨年の調査で立証された。しかし吉田英厚の具体的な事跡が不明な点が多く、『東西雁魚』に収録される書簡は住所不明(封筒がない)のであった。昨年公刊した論文「吉田英厚『辨妄』について」をネット上で発見した吉田英厚(秋山罷斎の弟子)ご遺族から連絡があり、2023年8月6日にご遺族と面会した。その際に、ご遺族が手元に保管しておいた貴重な資料を見せて頂いた。そしてそれまで不明であった経歴や写真も目睹することができた。吉田英厚の資料そのものはご遺族所蔵ではあるにせよ、これらの資料は秋山罷斎『東西雁魚』に直接関わるものであり、その存在意義は非常に重要である。
また2023年度中には、吉田英厚も影響を受けた尾張崎門派・細野要斎について研究を進めた。2023年7月29日に白山中国学会で「明治の崎門学派‐細野要斎」を発表(基調講演)した。基調講演の後、再度細野要斎に関する資料を蒐集・調査し、論文を学科紀要である『東洋思想文化』11号(2024年3月公刊)に掲載した。明治初期の尾張崎門派の調査を進めたことにより、秋山罷斎の門人西塚臥山が名古屋で詩社を主宰し、そこに秋山罷斎も参加していたことが分かった。
以上が、今年度(2023年)の実績内容である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

これまで明治の闇斎派としては殆ど研究されてこなかった秋山罷斎がどのような交友関係を持ち、『東西雁魚』はどのような書簡集であるのか、などの調査を行いながら進めている。『東西雁西』は基本的には書簡集であるが、その全貌は明治から大正に至る山崎闇斎派の文献に係るものを選りすぐり、なおかつ秋山罷斎門下の交流に限定した書簡集であることが漠然と分かってきた。各冊が舞田敦・吉田英厚・楠本正翼・中山正明兄弟の順序で整理されている。『東西雁魚』を編纂整理した人物もこれらの人物に近いひと(例えば市村理吉)であることは疑いの余地はない。これらの研究分析の結果から、概ね当初の研究目的を達成したと思われるが、書簡の一つ一つの内容については未だ不明なものが多く、更に調査の時間を必要とする。未解明であった問題が明らかとなり、研究の成果は上がってはいるものの資料の整理に想定以上の時間がかかっている。目下『東西雁魚』目録の作成作業を進めているが、不鮮明で解読不能な箇所も多く、その整理作業自体の正確性に問題を生じている。資料の読解に時間がかかるだけでなく、学務の多忙さも影響しており、エフォートの見込みが甘かった。

今後の研究の推進方策

明治の山崎闇斎派の研究は非常に少なく、研究の方向性も先入観に捉われ、かつ偏狭である。その問題に風穴を開けるべく、新しい闇斎学派の研究のあり方を探っている。当初はある程度詳細な目録作成を予定していたが、簡易な形式に変更を計画している。

次年度使用額が生じた理由

学務が多忙で時間的な余裕がなく、実地調査を行う回数を減らした。研究を変更し、来年度に研究報告書をまとめることにしたため、当初印刷代として予定していた予算が使えなかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 細野要斎における闇斎学2024

    • 著者名/発表者名
      白井順
    • 雑誌名

      東洋思想文化

      巻: 11 ページ: 31-58

    • DOI

      10.34428/00014029

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 明治の崎門学派 ――細野要斎2023

    • 著者名/発表者名
      白井順
    • 学会等名
      白山中国学会

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公開日: 2024-12-25  

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