研究課題/領域番号 |
21K00066
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大村 哲夫 上智大学, グリーフケア研究所, 教授 (30620281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スピリチュアルケア / 倫理 / 臨床宗教師 / スピリチュアルケア師 / 日本 / グァテマラ / マヤ |
研究実績の概要 |
日本心理臨床学会で会員企画シンポジウム「心理臨床とスピリチュアルケア」を企画・開催,これまで別種と思われてきた心理臨床とスピリチュアルケアの関係性を示した.横浜国際会議場の大ホール(800人収容)をほぼ埋める参加者を集めることができ,この問題への関心の高まりをあらためて認識できた.. 日本発達心理学会でラウンドテーブル「宗教/スピリチュアリティが臨床の場に介在することの意味に参加.話題提供を行った. 臨床倫理にかかわる研究成果を研究論文「日本におけるスピリチュアルケアと倫理ー自由でゆたかなケアを生かす倫理的フレーム」『グリーフケア』12号,2024として発表した.本論文において筆者は,北米の宗教文化にもとづくチャプレン養成プログラムをそのまま日本に適用することの問題を指摘し,日本文化の特性を踏まえたスピリチュアルケアの実践について考察を加え,日本における臨床倫理のあり方について具体的な提言を行なった. コロナ禍が続く中,認定臨床宗教師(日本臨床宗教師会認定)・スピリチュアルケア師(日本スピリチュアルケア学会認定)等の活動が徐々に再開される中,日本臨床宗教師会主催の倫理研修,各地域の臨床宗教師会主催の倫理講習,日本スピリチュアルケア学会の倫理講習・倫理研修に招かれ,研究成果を踏まえた臨床倫理の還元を行なった.中でも,スピリチュアルケアと宗教的ケアの違いと線引きについてガイドラインを作成し,布教伝道ととられないケアの指針を示すことができた. また社会貢献活動の一環として,各団体のハラスメント対策に関する外部委員に委嘱され,研修会等を実施,成果の還元に努めた. しかしながらコロナ禍のため,海外における研究大会などが中止になり交流が限定的となった.フィールドワークとして計画していた,「中米マヤ民族の祈祷師による病気治しにおける倫理的枠組み」については,実施することができなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を論文化し,スピリチュアルケアの臨床家である臨床宗教師やスピリチュアルケア師に向けた研修・講習を実施し研究成果の還元に努めた.その他,ハラスメント等の倫理問題についての研修会を,さまざまな団体から依頼を受け,実践した. しかしコロナ禍の影響や相手国の政情不安を受け,海外での成果発表や研究交流ができず,海外でのフィールドワークも実施できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2024年夏,心理臨床学会大会開催に合わせて,研究成果を含めた専門書『心理臨床に活かすスピリチュアルケア』(創元社)を共編著で刊行するため,現在編集作業を進めている 日本心理臨床学会で自主シンポジウム,日本スピリチュアルケア学会で会員企画シンポジウムを企画するなど,研究成果の発表に努めている. 日本臨床宗教師会,日本スピリチュアルケア学会等において倫理研修や倫理講習を行い,研究成果の還元に努める. 比較対象として中米マヤ民族の祈祷師における倫理規範についてフィールドワークを実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍と大統領選による政情不安により,予定していた海外発表や海外でのフィールドワークが実施できなかったため,次年度への繰り越しを余儀なくされた. 2024年度の2月ごろ,海外におけるフィールドワークを予定している. また研究代表者の所属異動により,研究体制の確立が遅れたことも原因の一つである.現在は整いつつあるため問題はなくなった.
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