研究課題/領域番号 |
21K00075
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
木越 康 大谷大学, 文学部, 教授 (90269762)
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研究分担者 |
本林 靖久 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (30626833)
徳田 剛 大谷大学, 社会学部, 准教授 (60346286)
藤枝 真 大谷大学, 文学部, 准教授 (80351245)
藤元 雅文 大谷大学, 文学部, 准教授 (80410976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 宗教動態 / 人口減少地域 / 仏教寺院 / 他出子 / 宗教意識 / 墓制 / 葬送儀礼 / 神社 |
研究実績の概要 |
本研究は、人口減少が進む地域コミュニティにおいて、「地域と住民の身体に染み込んだ宗教感情」にどのような動揺が起こっているのかを調査し、仏教をはじめとする伝統宗教の今後の役割や持続可能性について総合的研究を行うことを目的としている。3年間の研究期間の初年次であった2021年度は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により特に高齢者が多く居住している調査対象地域へと出向くことがかなわず、調査研究の方法の工夫が必要となった。 当初の研究実施計画として2021年度は「既調査対象地域の宗教動態の把握分析、新規調査対象地の本調査準備」という目標を掲げていた。前者に関しては、既存調査データを精査するなかで、地域全体の宗教動態の把握がさらに必要であることが明らかになり、既存調査データが最も充実している岐阜県揖斐郡揖斐川町春日美束地区全戸を対象にアンケート調査を行った。このことにより、既調査対象地域の宗教動態の把握分析をより正確におこなうことができる環境が整い、現在、アンケート調査についての整理分析をとりまとめている。 目標の後者については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新規調査対象地へのアプローチを具体的に展開することがかなわなかったが、これまでの調査研究によって対象地域との信頼関係は構築できており、感染症の影響が落ち着きさえすれば、すぐにでも新規調査対象地における調査へとアプローチすることができる状態にある。 以上、2021年度の研究成果として、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一部予定通りと言い難い部分もあるが、おおむね順調に調査研究が進んでいるということができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的および「既調査対象地域の宗教動態の把握分析、新規調査対象地の本調査準備」という2021年度の研究実施計画に基づき、調査対象地域における宗教動態の把握にむけて、既調査対象地域について最も調査データが充実している地域に絞った形で全戸を対象にアンケート調査を実施することができた。このアンケート調査の分析については2022年5月に研究会における研究グループのメンバーの発表を予定しており、宗教動態の把握にむけた研究を着実にすすめている。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって「新規調査対象地の本調査準備」つまり本調査にむけた具体的なアプローチはかなわなかったが、これは研究の進め方の問題ではなく多分に当初予期していない感染症拡大の影響によるものであるため、その影響が落ち着けば計画通りすすめていくことができる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度におけるアンケート調査の整理分析をとおして、調査対象地域の宗教意識の把握分析をすすめつつ、2022年度の研究実施計画における目標である「新規調査対象地における宗教動態の把握」に取り組んでいく。具体的には、これまで調査対象地域としてきた岐阜県揖斐郡揖斐川町春日の住民が多く他出している地域(揖斐郡池田町など)を想定しているが、2021年度に実施したアンケート調査を加味した既調査対象地域の宗教動態の把握分析から候補地となる新規調査対象の寺院および地域についても検討していく。その上で新規対象地域における寺院および地域住民の調査を実施し、必要なデータの収集と分析を行う予定である。これまで蓄積してきた対面調査およびアンケート調査の方法を用い、着実に調査を実施し、データの収集と分析を行っていきたい。また、2021年度に実施したアンケート調査に関わる事項について深堀し人口減少地域における宗教動態の詳細な実態を把握するため、アンケートの調査協力者の中でさらに対面の調査協力に同意いただいている方を対象に聞き取り調査をおこなう予定である。これらを通して、人口減少地域の住民および人口減少地域から他出した住民の宗教動態を把握していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度において新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、やむを得ず実施できなかった調査研究の諸経費に使用する。具体的には、新規調査対象地への調査準備のための旅費および調査の整理分析にかかわる人件費等にあてる。2022年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が落ち着けば、新規調査対象地への調査準備および調査の実施をすすめていく予定である。
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