本研究は、ヨーロッパ古代哲学史研究に変革をもたらした哲学史家ピエール・アドによる「精神の修練」研究が犯した哲学史的なアナクロニズムを克服するために、アウグスティヌスの『説教』と『書簡』を中心に分析を進めた。そして「教導」とは、精神の修練という古典的で究極的な目的を設定しつつも、近接的な目的として普遍的に全ての魂にふさわしい修練の場である聖書解釈への習熟を設定することにおいて勝義にキリスト教的な観点から規定されることを明らかにした。 本研究は、国際研究ネットワークを活用し、国際学会において研究成果を継続して発表し、オーストラリア、米国、カナダ、シンガポール、香港の研究者との相互交流を推進した。
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